coup de théâtre

早川聖来ちゃんがすきです

舞台『桜文』を観てきた(アフタートークを添えて)

 
『桜文』9月14日のソワレ@PARCO劇場を観劇してきました!

twitterでも感想をつぶやいたのですが、配信あるのにネタバレするのもあれだな、と思ったので、ネタバレ含めた感想をこちらに書き散らかしておきます。
(全編ネタバレあるのでこれから見る予定のある人は閉じてね&見終わってすぐにバーっと気持ちを書いたので乱文失礼します)
 
 
PARCO劇場は席の配置とか傾斜が見やすくて、舞台から近くて好きな劇場。
しかも今日はめちゃくちゃ前方の席だったのでほぼオペラグラスなしで楽しめました。
 
まず物販でとっても良いなって思ったのは、グッズで匂い袋があるところ。
その香りでいつでも舞台のことを思い出せるのってとっても贅沢。
わたしだったら絶対にチケットと一緒に保存して香りを移すと思う。
(わたしが行ったときにはもう売り切れで買えなかった、、残念、、、)
 
 
いよいよ幕開け、とりあえず感想を羅列しておくと、
・霧野先生/仙太役のゆうたろうさんのつるっとしたお顔と曇りなき眼が役に合いすぎていて、、、これは確かに情夫(まぶ)にしたくなりますね
 
・西条役の榎木孝明はダンディなのに嫉妬に狂う姿がセクシーでとっても良かった
 
・編集長役の有川マコトさんはとにかく声がよくて、作中唯一のコメディリリーフとして大好きでした。
 
 
そして肝心の久保史緒里さん。
宝珠楼に売られる前の雅沙子のいじらしさと笑った時の可憐さ。
花魁として高下駄でゆらりゆらりと歩く花魁道中の息をのむような美しさ。
気が触れてしまった場面での狂気の笑顔。
最後、霧野先生を刺してしまった時の表情、そして正気に戻った時の涙。
 
すべてが情念に満ちた久保史緒里さんのとっても素敵な演技でした。
 
(これはアフタートークの時のも触れられていて、小道具さんの失敗でもあるのでSNSであまり拡散しないでほしいとのことだったのでブログにこっそり書いておきますが)
ラストの桜雅が霧野先生を刺した後、正気に戻り自らの眼を潰すシーン。
凶器として使用していたのが仙太の作った桜のかんざしではなく、普通の櫛が握られていたように見えました。
これは手違いで桜のかんざしが用意されなかったのを、久保ちゃんがアドリブでさもそこに桜のかんざしが握られているように演技をしたとのこと。
わたしはすっかり演技に見とれていて、オペラグラスでアップにして観ていなければ絶対に気づきませんでした。
ないものすらあるように見せる圧巻の演技でした。

 
 
一方で、お話自体はめちゃくちゃぶっ刺さったわけではなかったのが正直なところ。
若干キャラクターがキャラクターしすぎている気がして、一人ひとりの登場人物が生きている人間というよりは物語を進めるためのコマに見えてしまった瞬間があった(というふうに感じてしまった)のがいまいち刺さらなかった原因なのかな、と思ってます。
・笑わない花魁、にしては嘘が下手だし、優しすぎるし、人に心開くの早くない?(久保ちゃんがインタビューであまり綺麗になり過ぎないように演じていたと言っていたのでそこらへんが原因かも)
・桜雅は本当に仙太や霧野先生を好きになったの?
・西条さんがここまで桜雅に入れ込む理由がいまいち見えてこない
っていうところあたりかしら(わたしの読解力が及んでいないだけかもしれません)。
 
ついでに、これは完全にわたしの問題ですが、たまたまいろんな作品を摂取したタイミングが悪かったような気もしています。
''届かなかった手紙''というテーマでは先日見た『Q』:A Night At The Kabukiでの松たか子上川隆也の演技が刺さりすぎてしばらくトラウマになったこと。
”身を削る創作”というテーマでは(わたしが聖来ちゃん推しというのが多分にあっての)舞台『CROSS ROAD』が喉につかえた小骨のようにいつまでも心の中でぐるぐるしていること。
”愛と情念”というテーマでは最近になって連城三紀彦『戻り川心中』を読み返してしまったこと(この本はこの世で一番美しい連作短編推理小説だと思うのでみんな読んでくださいお願いします!!)。
 
 
それでも見終わった後はいろいろなことをぐるぐると考えてしまいました。
まっすぐな眼が魅力的だった霧野先生が、第2幕でむくむくと湧く虚栄心でどんどん眼が濁っていく展開にはうならされました(桜雅はまっすぐな眼に惹かれたというのに!)。
また、禿(花魁見習い)の小鞠ちゃんに対して桜雅が「あなたは好きな人と幸せになるんだよ」って抱きしめるのは、桜雅の優しさや身の焼けるような無念さを示している一方で、ちいさな小鞠ちゃんの将来に対するあまりにも無慈悲な呪いの言葉でもあるような。
 
結局、吉原という嘘を土台に成り立っている舞台での物語だから、嘘をつかなかった人であるところの桜雅や霧野先生/仙太(広義では西条さんもなのかな)は不幸せになっていき、上辺だけの言葉を交換しあう若き編集者と花魁は幸せ(に見える)大団円を迎える対比を感じてしまったり。
 
そしてそのうえで、(わたしがミステリ脳過ぎるのが原因だと思うんだけど)作中作の形式をとっている手紙の内容が本当に真実なのか、それとも見たかった現実かもわからないところが面白いなぁって。
本当に桜雅は仙太もしくは霧野先生のことを慕っていたのかな、それとも穢れを知らなかった"あの頃の自分"が好きで忘れられなくて、それを無意識のうちに霧野先生/仙太の眼に見出していただけなのかな。
 
 
 
、、、とまあいろいろ書いてきましたが、間違いなく何か感じることのある作品ですし、セットが豪華で演出も映像効果もよく練られているので、配信でも楽しめる作品だと思います。
今からでもチケットは取れるようだし、配信も決まったのでご興味ある方はぜひ!

 
 
 
(こっから先はおまけ)
そして今回の公演ではアフタートークがついていました!
この日のゲストは「久保史緒里 石田圭祐 阿知波悟美 石倉三郎 寺十吾」という宝珠楼の人々+演出の寺十さんという面々。
 
内容を覚えている範囲で書いておきます。
(メモなどしてなく記憶の限り書いているだけなので、内容に間違いがあってもご容赦ください)
 
「久保ちゃんから見た印象」
>石田さん
とにかくかわいい人。楽屋でも若い女優と積極的にお話しされている。
(石田さんご本人曰く「精神年齢が一緒なんだよ!」)
 
>阿知波さん
普段から救われていて、着物が着崩れているときに直してくれる。
野菜や果物を切って持ってきてくれる。
 
>石倉さん
裏で作中出てくる「私のこと好き?」ってセリフでほかのキャストに延々絡んでて、ゆうたろうさんがよく相手している(?)
 
>寺十さん
感情を言葉で表現できないときにとっても助けてもらった。
 
 
「周りのキャストから見た久保ちゃんの印象」
From 石田さん
稽古の始まりから、絶対に忙しいはずなのに、しっかりセリフを覚えていてびっくり。
気持ちに応じて音がコロコロ変わる、声に感情が載っている。
 
 
From 阿知波さん
稽古中はコロナ対策もあってあまりおしゃべりもできず、着替えなども密にならないようにしていたため、あまり話せなかった。
なのに小屋入りしてから挨拶するだけで、とっても笑顔になってくれる。
 
 
From 石倉さん
自分が21歳の時は死体役とかやってたのに、同じ歳でPARCO劇場で主役で花魁役を立派に務めるなんて尊敬!
 
 
 
そのほかで印象に残った話は↓のとおり。
・久保ちゃんとしては、まだまだ舞台での余裕がないと感じていて、稽古の時にさらっと演技を変えてくる諸先輩方から多くのことを学んでいるとのこと。
・物干し台の上で仙太と雅沙子が「ワッハッハ」と笑うシーンは日を経るにつれてどんどん笑い声が大きく、長くなっている→ゆうたろうさんに負けないように久保ちゃんもどんどんエスカレートしていっているらしい
・石田さんも阿知波さんも観客の大多数が男性である光景を見ることがないため、とっても珍しいなぁって(阿知波さん曰く、「久保ちゃんすごーっ!」)
 
 
以上、乱文失礼しました!